その日は朝から上手くいかなかった。
せっかくかけた目覚ましは電池切れで鳴らず、髪型はいまいち納得がいかない。
リビングのテーブルの上には小さな丸い字で「日直の仕事があるので先に行きます。 瞬」と書かれた紙切れとラップのかけられた朝食。

一輝は壁にかけられた時計を見て既に間に合わないことを知ると、ため息を吐いてイスに座り朝食に手をつけた。







「ねぇ星矢、兄さんがまだ来てないんだけど…」
「へ?一輝が??」
一時間めが終わって休憩時間に入るなり瞬は落ち着かない様子で切り出す。
「屋上ででも寝てるんじゃないのか?」
さりげなく星矢の隣をゲットしながら氷河が言うが、瞬は「学校にも来てないんだよ」と首を振る。

「…と言うか、誰も一輝が違うクラス(むしろ上級生)で、瞬はずっとここで授業を受けていたことには突っ込まないんだな…」
そんな紫龍の呟きも三人には届かない。

「もしかして兄さんの身に何かあったんじゃ…!!」
「一輝に限ってそんなぁ…」
と笑いかけた星矢だが、瞬が顔全体で「心配なんだ」と訴えるものだから二の句が続けられなくなる。
弟小宇宙で呼びかけてみたらどうだ?」
「小宇宙で…?」
「あぁ、瞬が呼べばすぐ来るんじゃないか?」
色々な意味合いを含めて氷河は茶化したつもりだったのだが、瞬はまじめに「それもありかぁ」と頷いてしまった。
紫龍は一人、この会話にどこからどう突っ込めば良いのか師の教えを記憶の限りたぐっていた。


「ぁ、そう言えば今日はカノンもまだみたいだね」
「へぇ。つーか良く知ってんなぁ瞬」
「まぁね」
にっこりと笑う瞬にどこか恐怖を覚える星矢。
隣の氷河は怯えている。
「…だが、カノンが居ないとなると会長は今頃血眼で探しているんじゃないのか?」
紫龍が言うのに重なって、放送の軽やかなチャイムが鳴るが、その後に聞こえてきた声は威圧に満ちたものだった。

至急呼び出しだ。カノン、学内に居たなら今すぐ生徒会室に来い。以上だ』

四人は互いに目を反らす。
と同時に教室のドアが勢い良く開かれ、

「だーいニュース!カノン先輩を見つけてサガ会長に引き渡したやつは学食のタダ券一年分!!

半ば叫びながら邪武が飛び込んできた。
先程の放送で凍りついていた教室内がにわかに騒がしくなる。
サガの職権乱用には慣れているのですぐさまカノン捜索隊が組まれ、休憩時間も残り僅かだというのにそれぞれ散っていった。


「………ねぇ…」
「何も言うな、瞬…」
マーマ…
「老師…俺はどうすれば……」


しばし重苦しいような空気が漂っていたが、瞬が思い出したように顔を上げる。
「そうだ、そんなことより兄さんが…!!」
「今のですっかり忘れていたな…」
「よぉし…」
瞬は深呼吸を一つすると、小宇宙を高めていく。


『兄さーーーん!!氷河が「しゅーーーん!!!


瞬が言い終わる前に教室へ飛び込んできた一輝。

「「「Σ(゜Д゜;)」」」

驚く間もなく攻撃的な小宇宙が燃え上がり、

―――ごすッッ
「あだぁ!!?」
「んぎゃ!!」

一輝は背中に担いでいたパンドラボックスを氷河に投げつけた。

「兄さん、やっぱり来てくれたんだね!」
「もちろん」

「だ、大丈夫か氷河!?」
「痛い…。マーマ…我が師…(;ω;`)」
「老師に聞いたことがある。聖衣の色は強さと関係ないのだと(意味不)」







「で、どうしたんだ?一輝が学校に来ていないと皆で心配していたのだが…」
「あぁ、すまない紫龍。寝坊をしてな」
「ゴメンね兄さん、僕が起こさなかったから…」
「瞬のせいじゃないさ」
和やかな空気が流れるその横では、マーマとカミュを呼びながら泣き続ける氷河の頭を星矢がなだめながら撫でている。

「それより俺さ、一輝のパンドラボックスから声が聞こえた気がしたんだけど
星矢が言うと、少し落ち着きを取り戻した氷河が「お、俺も…」と言う。


「………?」
いぶかしがりながらパンドラボックスを開く一輝。
そして硬直する。
四人も興味津々に覗き込んで、固まった。


「か……のん……?」


聖衣と一緒に身を縮めて入っていたのは、先程放送で呼び出された上に懸賞のかけられた、五人に一様に覗き込まれ慌てているカノンだった。

「ぁ…、えっと…」
ネビュラチェーン!!
「のわぁぁ!?」
カノンに向けて放たれたスクエアチェーンは、しかしパンドラボックスの底を捕えただけだった。
「いきなり何をするのだアンドロメダ!!」
「何を?それはこっちの台詞ですよカノン…?」
にっこりと笑む瞬の後ろには黒いオーラ。
生徒会長よろしく髪の色が変わりそうな勢いでカノンに詰め寄る。

「ぅぐ…」
「ま、まぁ落ち着け瞬。…カノン、俺の箱の中で何を?」
「ぁ…。ち、違うのだフェニックス!こ、これはその…えぇと……」
一気に乙女モードに突入したカノンに笑顔のまま鎖を構える瞬。
星矢、紫龍、氷河は学食のタダ券の取り分について話している。

「…?」
「ふぇ、ふぇに「ネビュラチェーン!!」
「どぁぁぁ!?」
今度は確実に鎖がカノンを捕えた。
「だから何の真似だアンドロメダ!!」
自由になる首だけをぶんぶんと振って抵抗するが、しっかりと巻き付いた鎖は外れない。
「僕は誰も傷つけたくはないんだ。だから…、大人しくしてね?
まるで天使のような微笑みに、えも言われぬ威圧感を漂わせる瞬にカノンは自身の双子の兄を見た…気がした。

すっかり怯えて動かなくなったカノンを引きずり、瞬は未だ取り分で言い争っている三人の方へ向かう。
「皆で行けば、サガならきっと人数分くれるよ。ね、星矢」
「あぁそうか、その手があったか!」
うなずき合う四人に対し、カノンは一人状況が飲み込めていない。
「ちょ、ちょっと待て!何なのだ?何の話だ!?」
「今の貴方には懸賞がかけられているんですよ、サガから」
「んな…。いーやーだー!!
悲痛な叫びも授業すらも綺麗にスルーし、四人はサガの元へ行くため歩きだす。







その日は朝から上手くいかなかった。
せっかくかけた目覚ましは電池切れで鳴らず遅刻をして心配をかけ、髪型は未だに納得がいかない。
日直の仕事のために早く家を出た瞬に呼ばれ学校に来たものの当の弟は相手をしてくれず、パンドラボックスからはカノン。
一輝はため息をついてボックスを閉めると担ぎ直し、廊下に出る。
カノンの騒がしい声を遠く聞きながら、自身のクラスへと向かうが、思いついたように方向を変える。




「――屋上ででも寝るか」















俺とおまえのフェアリーベールさまへ相互記念に捧ぐ。


後書きと言う名の言い訳。
無理だ・・
ボクには何かしら色々と無理だ・・!!
ヘタレなサガを書くどころかボクがヘタレでゴメンよマサルさん!!
ま、まぁヘタレ兄さんは早々に諦めたのだが←

とりぁぇず、書きたい物をひたすら詰め込んだ。
青銅むつかしぃ。
とりぁぇず氷河・紫龍・純な瞬スキーな皆さまゴメンなたい・・(ノД`)・゜・。

管理人が書きたくてはめ込んだ箇所を全部言えた人には何とー、管理人の愛gぅゎ何をすr
ヒントは赤字←