「ぇ?ぁ、おい!」
「そうだ。何にすればわからなかったから適当に選んだが、気に入らなかったら捨ててくれ。」
呼び止めるカノンを全く意に介さずといった体でアイザックは扉の前で振り返ってそれだけ言うと、今度こそ出て行ってしまった。


「なんなのだ。全く…。」
一人残されたカノンは深々と溜め息をつくとイスの背もたれに身体を預け、目を閉じる。
「誕生日、か…。」
ふむ、と身体を起こしたカノンは先ほどアイザックが置いていった小箱を見つめ、リボンを解く。
開けてみると中には何の飾りっ気もない、小さなオルゴール。
カノンはそれを指で摘み上げ、しばらく眺めてみてからネジを回す。

「……カノンかよ!何の捻りもねぇな!!」


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ホントは本編で開けて欲しかったんだけど・・ね!
オルゴール握り潰そうとして一旦固まってから机に仕舞いこめば良いです。









ガタン、と音を立てて背後で椅子が倒れ、散らばるプレゼントに混じっていちごのショートケーキが2つ、床に無惨な姿を晒す。
頭の中で、自分ではない自分が黒い笑みを浮かべた。
「……だと言うのだ…。私に…、どうしろと言うのだ…!」
15で時を止めた、いつもどこか寂しげなあの笑顔が脳裏を過ぎる。


知らず、溢れた涙がテーブルに歪な円を描く。
サガはそのまま床へと座り込み、嗚咽を漏らした。


「……生クリームは嫌いだと、何度も…!」


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サガ→兄さん→時一兄さん
という連想とか。








赤いリボンのかけられたテディベアを膝の上で弄びながら、楽しげとも寂しげとも思える掠れ気味の声で小さく歌う。

「Happy Birthday Dear…」

サガは足元に転がる赤い果実を摘み上げて躊躇いなく口に含み、指についた生クリームを舐め取るとクスクスと笑った。


「……はんひょーび・・モガ・・おめひぇ・・ん・・とう。サガ、カノン…。」


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いや、なんかもうほんとゴメンナサイ。
黒様大好きなんです・・。