新月



新月の夜は嫌いだった
新月の夜は獣のように血がたぎって
人を殺したくなる
血が見たくなる
僕が僕でなくなる瞬間…
僕の狂暴な人格が生まれる
心の奥底に眠っていた狂暴な人格が今…
新月と共に目覚め始める
目覚めないで…
そう願っても僕は抵抗出来るはずもなくて
ただ…
僕という存在が消えて行くのを見守る事しか出来なくて
僕は悲しくて
悔しくて
そんな自分が情けなくて
涙が出た
もうすぐ僕は完全に消える
新月を見つめながら…
朦朧としかけた意識の中
もう1人の僕が嘲笑った気がした
新月は人を狂わせる
新月は僕を鬼と化させる
サァ、狩リノ時間ハ始マッタ