「雨だな…」
しとしとと窓を打つ雨を、床に直に座り込んでぼんやりと眺めていたカノンはぽつりと呟く。

「雨だね」
湯気のたつカップを両手に持ったサガはカノンの隣に腰を下ろし、片方をカノンへと差し出しながら、「洗濯物が出来なくて困るのだがな」とぼやく。
「…明日は、晴れると良いな」
カップを受け取り、一口飲んだ後、カノンが言う。

「そうだな…。明日晴れたなら、どこか出掛けようか」
「……洗濯は良いのか?」
「もちろん終わってから、だよ」
妙に真剣な面持ちで聞き返してきたカノンに、サガはくすくすと笑う。
「むぅ…笑わずとも良いではないか…」
拗ねたようなカノンに対し、「すまぬ」と言いつつも笑い続けるサガ。

何か言おうとして、ため息と共に吐き出したカノンは再びガラスの向こうの暗く灰色の空を見上げる。
更にその向こうにある、青く清み渡るそれに想いをはせて。
「そう、だな…。どこへ行こうか」
言いながらカノンは身体を傾けると、視線は窓へと向けたままにサガへともたれかかる。
「カノンの好きなところで良いよ」
「俺は…サガの行きたいところで良い」
「お前の行きたいところが、私の行きたいところだよ」
カノンはすぐ側にあるサガの微笑を首だけ動かして見上げると「何なのだそれは…」と苦笑する。




「明日は、きっと晴れるな」
「あぁ。きっとな」
確証の無い確信を胸に、二人で笑い合った。











後書きと言う名の言い訳。
ほのぼのでリベンジしてみた。
深く考えずに読めばきっとボクの思うほのぼので何とかなってます。
でもぶっちゃけ、何か自分ぽくないようなぅにゃぅにゃ・・