サガが、死んだ。

女神を守るために。

女神の聖闘士として。


みずがめ座も、やぎ座も…。
シオンさまも、今再び永遠の眠りについた。


そして、俺は―――



「さて、冥界についたもののどこに向かえば良いのだ?」



迷子になっていた。





見渡せど辺りは石と岩。
「なんだ、天気が悪いことを除けば聖域とさほど変わらないじゃねぇか。」
フン、と鼻を鳴らすとカノンはもう一度自身の纏う聖衣を見た。
「マスク…は置いてきて良かったんだよなぁ?サガが(オブジェ形態以外で)箱から出してるの見たことないし…。」
サガの代わりに幾度も装着してはいたが、カノンとして、初めての聖衣装着。
不安と緊張。
そして、

「ふふん…、俺カッコイイ!」


海龍とはまた違った形の肩。
海龍よりも長く作られた腰。
ほぼ全身を覆うように作られたそのデザインを改めて一通り眺め回してから満足気に頷いて、ふと一つの疑問にたどり着く。

「…これをあの露出狂が着てたのか…?」

家に居ればどこでも全裸の、双子座聖衣前マスターである兄を思い出す。

「あれだけ脱ぎたがり見せたがりならみずがめ辺りの方が…むしろ青銅?いや、だからこそなのか?」

「んー…?」と首を傾げるが、すぐに考えるのを止める。
「まぁサガのことなど今はどうでも良いのだ。」
手近な岩に腰掛けるとため息を一つ吐く。
「女神……。…ここはどこなのですか…。」
困った時は神頼み。
しかし、というかやはりというか、状況は何一つ変わらない。

しばらくぼんやりしていると、青銅聖衣を着た二人が走って行くのが視界に入った。
「あれは…、えっと…誰だっけ…?まぁ良いか。女神よ、感謝致します!」
しめたとばかりに立ち上がると、カノンは小宇宙を、気配を、姿まで消して後輩の後を追って走り出した。





「遅ぇんだよお前ら、もっと速く走れ!それでも聖闘士か!」
「せ、星矢…、何か聞こえなかった…?」
「へ?気のせいだろ。それか亡者か何かじゃないのか?」
「危ねぇ危ねぇ。って誰が亡者だよ…!」













後書きと言う名の言い訳。
冥界編はカノンが出てるシーンしか記憶に無いボクですが。
言われたら思いだします、きっと。
一輝兄さんとパンドラさまのシーンすら(言われるまで)忘れてた自分に愕然としましたが!

そして書いてからカノンの方が後に冥界行ったこと思いだしました。
ぶっちゃけ双子以外のシーンはながらで観てましたなんてそんなことは・・!