マグカップに牛乳を注ぐ。
レンジに突っ込んでスイッチオン。
湯気がたつくらい温めて、マシュマロを投入。
サガはすごい目で見てくる。
ざらざら…
「カノン…」
マシュマロが溶け始めた牛乳をスプーンでかき回す。
「何だ?」
ぐるぐる…
「ソレは、何だ…?」
「ホットミルクだ」
「いや…、それはわかるのだが…」
相変わらず変な物を見るような目。
「甘くて美味いぞ。飲んでみるか?」
何の気無しに言ってみた言葉だったが、サガはびくりと身体をこわばらせる。
「いや、遠慮しておくよ…」
目を反らすサガを見て、不意に思い出す。
ヤツは甘いものが駄目な訳ではない、だが今までに牛乳を飲んだところを見たことがあっただろうか?
いや、ない。
口端がにやりとつり上がるのが自分でもわかった。
「…何だサガ、たかだか牛乳だろうが。こんなものも飲めんのか?」
「!!」
目を反らしたまま、そんなことは無い…、ともごもごと口籠もる姿を見て俺のイタズラ心がそろそろと鎌首をもたげだす。
「なら飲んでみろよ。なぁ、兄さん?」
にっこりと、自分でも気持ち悪いくらい、サガお得意の胡散臭さ満点スマイルを浮かべる俺。
上や下、右左にと何か逃げ道はないかと視線を泳がせるサガ。
しかしまたとない日頃の仕返しをしてやるチャンス。
そう易々と手放してやるもんか。
「牛乳くらい星矢だって飲めるだろうなぁ」
これは憶測。
でも俺にとってあいつのイメージって朝は牛乳に始まって風呂上がりにも一気飲みしてそう。
あくまでイメージの話。
だが、サガは自身より一回りも年下の、青銅の名前を出されて明らかに焦っている。
「そうそう、これも氷河に教えてもらったんだ」
マシュマロがすっかり溶けてしまったマグカップを指す。
これは本当。
しかしあいつも甘いもの大好きだな…。
俺も人のことは言えないのだが。
サガはと言えば、恐らく当人の中で凄まじい葛藤が生じているのだろう、床を凝視したまま動かない。
「女神もお笑いになられるかもな」
「―――!!」
トドメの一発。
サガは拳を握ってしばらく硬直していたが、弾かれたように顔を上げると真剣な面持ちでこちらへと近づいてくる。
「っさ、サガ、俺が悪かっ……?!」
しかしサガはテーブルに置かれた俺のマグカップを取り上げると思い切りあおった。
俺が呆然と見ている間にも中身はどんどん嚥下されていく。
「…さ……が…?」
飲み切ったカップを音を立てて力任せにテーブルに半ば叩きつけるサガ。
割れるぞ…。
「飲ん、だぞ…。カノン…!」
涙で潤みながらも強く見返してくる瞳、口の端から少し溢れる白濁…。
―――ぁ…、なんか俺、ちょっとヤバイかも。
後書きと言う名の言い訳。
ボクがやばいわぁバカー!!
マサル氏と時一兄さんの妄想から←
でも普段ボクの妄想は逆なんだ。
ぁ、ゴメン←
ちなみにマシュマロにゅーにゅぅは美味しいですよ。
砂糖3本でも全然おkですg