鏡の中の月


月に祈ってみた
『どうか、幸せになれますように』
月は叶えてくれなかった
私は待った
いつ、幸せになれるだろう?…と
いつか幸せになれるんだと思えば
怖いものは無かった
けれど、私は幸せにはなれなかった
いつの日か
月に祈るのを止めてしまった

私は鏡に祈ってみた
『どうか、幸せにして下さい』
鏡には窓から見える月がうつっていた
だから
鏡の中の月に問いかけてみた
『私は、いつ幸せになれるの?』
鏡の中の月は答えてくれなかった
その日から私は何にも祈らなくなった

でも、幸せにはなれなかった
これならまだ、幸せを待っていた方が
幸せだったかもしれない
私はまた
月に祈った
『いつまでも、この幸せが続きますように…』

E N D